ウクライナの原子力発電所がマイニング事業に電力供給へ

コロナウイルスの経済への影響を少しでも減らすために、ウクライナは原子力発電所の余剰電力を利用した仮想通貨マイニングを検討しているようです。
5月5日、ウクライナのエネルギー省は、4基の原子力発電所が仮想通貨マイニングに電力を供給する用意があると発表しました。
同省は、ウクライナ国内4基の電子力発電所を有するエネルゴアトムと共同で計画が進められているとしています。
ウクライナには15基の電子力発電所が13.9GW(ギガワット)の電力を供給しており、世界で7番円に高い水準になっています。
ウクライナ・エネルギー省が示す3つのメリット
同省は、次の3点をメリットとして挙げています。
- 仮想通貨のマイニング事業を進めることで、原子力発電の新たな市場を開拓できる。
- ウクライナの原子力発電の信頼性を高める。
- 余剰エネルギー問題を解決できる。

さらに同省は、5月6日のフェイスブックで、ヨーロッパ最大の電子力発電所、ザポリージャ原子力発電所の近くにマイニング・ファームを設置し、テストの第一フェーズを開始することを明らかにしました。
最終的に最大1000MWの電力を必要とするマイニング・ファームの需要に応えられるとしており、エネルゴアトムと共同で実施するテストは、最初に30MWがマイニング用電力として提供される予定となっています。
ウクライナが描く今後のマイニング事業
クリプトニュースの取材に対し、エネルギー省の広報担当者は、「まだ提案の段階」と話すにとどめました。
その一方で、同省はフェイスブックへの投稿の中で、次のように述べています。
この試みは、ソビエト方式の経済モデルからの脱却の一環です。
余剰電力を利用する現代的な方法の一つは、仮想通貨に利用することです。
それによって、原子力発電による電力を効率的に利用することが可能になり、新たな設備投資などの経済効果も見込めます。
同省によると、最初は仮想通貨マイニング事業は政府からの支援を受けますが、最終的には完全に独立した経営を目指すとしています。
まとめ
仮想通貨マイニングを行う上で、電力料金は最も重要と言えます。
継続的に必要となるランニングコストで、例えば日本でマイニング事業を行う場合は、高い電力料金がネックとなり、利益を出すことは難しくなります。
ウクライナはもともと盛んにマイニングが行われていますが、国を挙げての事業として取り組む方針のようです。
これまでは中国がマイニングでは圧倒的なシェアを誇ってきましたが、ウクライナのほか、外貨獲得を目指すイランも国を挙げての事業として取り組むようです。
今後は、マイニングを巡って仮想通貨のパワー・バランスが、大きく変わるかもしれません。
(ヨーロッパ最大の原子力発電所は仮想通貨マイナーに電力を供給するかもしれない)