2度目のTON立ち上げ延期とテレグラムからの新たな提案
メッセージプラットフォームサービスを提供するテレグラム(Telegram)は、TON(Telegram Open Network)への投資家に対し、新たな払い戻しについて提案しました。
TONの立ち上げ期限とされていた今年4月30日を過ぎ、2度目となる延期が発表されています。
期限までにTONの立ち上げができなかった場合、テレグラムは投資額の72%を返還するという契約上の義務を負っています。
しかし今回、さらに一年間待ってもらえるなら、投資額の110%を支払うという新たな提案を行いました。
投資家を募ったICO(Initial Coin Offering)は、アメリカ証券取引委員会(SEC)から証券法に違反していると指摘され、現在も法廷で争っています。
テレグラムはアメリカの証券法に違反していないとの主張を行っており、来年4月までにTONの立ち上げを行う意向を示しています。
テレグラムは先週、投資家はオリジナルトークン・グラム(GRM)でいつでも払い戻しを受けられるとの見方を示していましたが、現在は現実的にグラムでの払い戻しはできないとしています。
テレグラムは、次のようなメッセージを公表しています。
残念ながら、規制当局と我々の弁護士との間で行われた話し合いで、現在法定で争われているグラムを払い戻しに利用できないという結論に至りました。
払い戻しに応じることはできますが、グラムなどの仮想通貨で払い戻すことはできません。
アメリカ人は110%払い戻しの対象外
テレグラムの110%を支払うという新しい提案は、アメリカ人以外の投資家に行われています。
アメリカ人の投資家は、72%の払い戻しを受けるという選択肢しか用意されていません。
そのため、テレグラムから連絡を受けた投資家は、2020年5月5日午後5時までにテレグラムに返信することを求められています。
テレグラムは返還に必要となる資金を調達するために株式を売却するかどうかは明言していませんが、スポークスマンのレミ・ヴォーン氏は、以前、株式売却の可能性があると取材に答えたことがあります。
テレグラムはTONブロックチェーンのためにICOで17億ドルを調達したとされていますが、当初予定されていた2019年10月30日のローンチは延期されました。
SECが、証券法違反の疑いでテレグラムを起訴したため、2020年4月30日に延期されていました。
今回の延期は、グラムの発行を禁止する仮処分命令が裁判所から下されたことに伴います。
まとめ
2019年、テレグラムのグラム、そしてフェイスブックのリブラ(Libra)という、SNSの巨人による仮想通貨発行計画が発表されました。
そして、両社とも規制などによって計画通りにプロジェクトが進まず、現在も先行きは不透明なままです。
計画が思うように進まない中、テレグラムは投資家に向けて新たな提案を行いました。
1年で10%のリターンが得られるなら投資として成功と言えますが、1年後にTONが立ち上げられるかは分かりません。
投資家の約半数は即時の払い戻しを希望しているとも伝えられており、その数が増えれば、テレグラム本体の経営にも大きな影響を及ぼします。
テレグラム躍進のために計画されたプロジェクトが、テレグラムを窮地に追い込むことになるかもしれません。
(テレグラムがグラム・トークンの投資家に返済するオファーを変更)