CBDCは仮想通貨特有のメリットは期待できない
ロシアの高等経済学者で銀行研究所の所長でもあるバシリー・ソロドコフ氏は、CBDC(中央銀行デジタル通貨)について、ビットコインのようなメリットは期待できないとの警告を発しています。
いわゆるデジタルルーブルのような中央銀行が管理するデジタル通貨(CBDC)は、ビットコインのような仮想通貨特有のメリットを実現できないでしょう。
ロシアの中央銀行は既存の仮想通貨に対抗するために独自のCBDCを発行したいと考えているようですが、それは明らかに既存の仮想通貨よりも劣ったものになり、競争に敗れてしまいます。
デジタルルーブルは、匿名性、ボーダレスなどの機能性、さらに発行上限といった面で既存の仮想通貨にかないません。
また、ソロドコフ氏は、中央銀行がCBDCを導入した場合、決済会社に大きな負担を強いることになると訴えています。
ソロドコフ氏は、さらに次のように付け加えました。
ビットコインの最大のメリットは、様々な制限を回避できることです。
ビットコインを買えば、誰にでも、どこにでも、自由に送金したり、受け取ったりすることが可能です。
そういったことが、中央銀行が提供するCBDCでも可能でしょうか?
いいえ、できないでしょう。
ソロドコフ氏の指摘は、ロシアとデジタルルーブルのプロジェクトだけでなく、現在CBDCの発行に向けて取り組んでいる多くの国に向けたものでもあります。
一つの国に複数の通貨は存在できない
ロシアの別の場所では、ロシア最大の銀行の一つアルファバンクのペトル・アベン会長が、メディアからのインタビューの中で、次のように答えています。
私は仮想通貨を信用していません。
仮想通貨に関する法律を強化することは、我々からすると当然のことのように感じます。
当然ですが、一つの国家に複数の通貨が存在することはできません。
ロシアの国会や州議会では、最初の仮想通貨の規制法案が承認されました。
今後は規制を厳しくした2番目の規制法案が審議される予定となっています。
2番目の法案では、仮想通貨取引における利益に対する課税についてのルールが定められます。
まとめ
多くの国で導入へのプロジェクトが進められているCBDCですが、仮想通貨の技術を利用しても、国が管理・運営を行う以上、仮想通貨特有の多くのメリットが失われてしまいます。
CBDCの分野では世界の先頭を走っている中国は、既にキャッシュレス決済が広く浸透していることや、もともと国内での決済を念頭に置いていることから、考え方は従来の仮想通貨とは全く異なっています。
ソロドコフ氏の言う通り、ビットコインなどの従来型の仮想通貨に対抗するためのCBDCは、現実的に難しいと言わざるを得ません。
CBDCは従来の法定通貨の延長線上にあるものとして期待し、仮想通貨とは全く異なる存在として捉えるべきではないでしょうか。
(ロシアの金融専門家がCBDCはビットコインと同じメリットを持たないと警告)