チェイナリシスは「ISISが3億ドル相当のビットコイン保有」との報道を否定
ブロックチェーン分析企業のチェイナリシスは、イスラム過激派組織ISISが3億ドル相当のビットコインを保有しているという最近の報道を、否定しました。
5月20日に公表されたレポートの中で、ビットコインや他の仮想通貨がテロ組織の資金調達に使用されているという疑惑をセンセーショナルに報道したメディアを非難しています。
レポートでは、テロ資金調達のためのキャンペーンは、仮想通貨では1万ドル未満しか調達できておらず、資金源として限定的であるとしています。
数日前、非営利組織カウンター・エクスターミズム・プロジェクト(CEP)のハンス=ヤコブ・シンドラー氏は、次のような記事をリリースしました。
ISISは最大3億ドル相当のビットコインを保有していましたが、2017年に行われた調査では、その資金の行方が分かりませんでした。
ビットコインは見つかりにくい環境で、テロ組織が必要とするまで保存されています。
ビットコインを調査当局が発見することはきわめて難しく、おそらく不可能でしょう。
大手のニュースメディアは、このシンドラー氏の記事を大きく報道しました。

しかし、チェイナリシスはシンドラー氏の主張を真っ向から否定しています。
シンドラー氏の推測が的中している可能性は、きわめて低いといえます。
テロ組織が石油で得られる収益をビットコインに換えた場合、仮想通貨取引所や金融サービス事業者の取引量から、資金の流れを掴むことができます。
仮想通貨は基礎となるブロックチェーン技術によって極めて透明性が高く、不正な資金の流れが明らかになるため、テロ組織にとって理想的とは言えません。
現金などの従来の通貨の方が、テロ組織の資金管理に合っています。
まとめ
匿名性が高い仮想通貨は犯罪などで利用されることが多く、ダークウェブでも広く取り引きに使われています。
しかし口座やウォレットが誰のものかは分かりにくいものの、資金の動きは誰でも確認することができます。
先日も、ビットコイン初期にマイニングされた50BTCが、11年経って初めて送金され、仮想通貨界をざわつかせました。
個人や小さな組織だと他の取り引きに紛れてしまいますが、ISISほどの大きな組織になると、取引額もかなり大きな額になると思われます。
ISISのようなテロ組織の資金をビットコインで保有するということは、大きな資金の移動が容易に把握でき、事件などの発生をある程度予見できるかもしれません。
仮想通貨は犯罪に利用されがちというイメージを持たれがちですが、決してそれだけではないということを、より多くの人に知ってもらいたいところです。
(チェイナリシス「ISISは3億ドル相当のビットコインを保有していない。」)